なぜ萌え文化が生まれ、発展したのか?

以下状況証拠と主観が多大に含まれた主張になるんで、ツッコミ等は勘弁してください。
そもそも不思議に思いませんか?
何で一般の大多数に疎まれる様な萌え文化が、ここまで広範囲に拡散したのか。
普通、商売をするなら一般人皆に受け入れられる様に作った方がいいはずです。
その方が売れるんですから。
その答えの大きな要因となっているのは「偏見」だと私は考えます。
「萌え」に対する偏見ではなく、昔からある「アニメ、漫画、ゲームという文化全体」への偏見です。
日本には基本的に
「アニメや漫画やゲームは子供の見るもの」
って偏見が蔓延っています。
実際国際的な文化の祭典で「ゲームは文化じゃない」と言った議員もいます。
そのため、一般人の理解が得られず、子供をメインターゲットとして発展して行きました。
そこに有名な東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件が起こります。
犯人の宮崎勤は、大量のエロロリアニメ、エロロリ漫画を集めていた「ロリコン」という
捏造された報道が大々的に流されたため、(注)
「アニメ、漫画、ゲームに夢中になっている人は危ない奴」
と言う認識が広まり、アニメ等に対する偏見は一層加速することになります。
そして95年、Windows 95の発売を切っ掛けとして娯楽の多様化が起こります。
その影響は子供にも及び、少子化問題もあって
まず子供向けのアニメの視聴率が低下の一途を辿って行く事になります。
このままではこの業界がつぶれてしまう
子供向けが駄目ならば、次に狙いをつけるのは金を持った大人しかありません。
子供は大人にねだる事でアニメが見れたり、漫画やゲームを買えるのだから、
元々自分の意思でお金を使える大人をターゲットにすれば、
例え娯楽の多様化が進んだとしても、生き残る事が出来るのではないか?と考えるのは自然です。
しかし実際は、偏見が日本中に広まっていて、子供向けより悲惨な結果になる事は目に見えてます。
何とかならないかと業界は考えます。
「もしかしたらある一定人数の大人に狙いをつければ良いのではないか?」
要は子供向けのものが完全消滅した訳ではないので、今まで減った分を一定人数の大人で補おうと言う考えです。
そこであるアニメがヒットします。
新世紀エヴァンゲリオン
元々視聴率が高くなかったのですが、深夜での再放送で注目が集まり、ついには社会現象になるまでのヒットとなりました。
また、
・「原作が無いアニメ主体のメディアミックス」
・「哲学や宗教の要素を取り入れた(自称)高尚なアニメ」
・「深夜でのアニメ放送」
・「製作委員会方式のアニメ」

等の今のアニメの形態を決めたといわれています。
このヒットをうけて97年には50本以上のアニメが放送される事になりました。
しかし、同時に作画の質の低下や作品自体の質の低下等も招き、各々の売上はあまり良いものではありませんでした。
もしくは当時のオタクの数では補うに至らないか。
その中でもヒットし、今の萌えブームに火をつけた切っ掛けとなったものがあります。
カードキャプターさくら
自分がロリコンに目覚めたきっかけとなった作品でもあります。
原作が元々オタク受けのいいCLAMPという事もありましたが、とにかくこの作品は当時のオタクの間で人気となりました。
そして、もう一つ。
エロゲー業界の転換です。
宮崎勤事件の影響を受けて、暗黒期に突入していた(沙織事件や複数のソフトの有害図書指定、ソフ倫設立に至るまでの利権争いなどによる混乱)エロゲー業界ですが、
コンシューマの方でヒットしたマルチシナリオ、マルチエンディング方式を採用する事により、
ゲームとしてのおもしろさを追求する方向に転換しました。
そしてWindows 95の登場による一般へのパソコンの普及率が急上昇。
このチャンスを逃す訳には行きません。
ここでエロではない別の売りを武器にヒットしたものが複数登場します。
エロさよりも可愛らしさを追求した「Pia♥キャロットへようこそ!!」
絵よりも文章に重きを置いた「雫」「痕」「To Heart」等の所謂ビジュアルノベル形式のエロゲー
そして、それから派生した感動的なストーリーを売りにした「ONE〜輝く季節に〜」
「エロくなくても売れる」
「パッケージを見ても特別エロくないので一般に対しても敷居が低い」

もちろん従来のユーザーからは「エロくなくて何がエロゲーだ!」等の批判的な意見もありましたが、
エロゲーの敷居を低くして、今日の萌えブームのもう一つのきっかけになったのは確実です。
そして、99年。
児童ポルノ法」が施行され、実写の児童ポルノは製造、販売が禁止されました。
これが萌えブームのさらなる加速装置になりました。
元々オタクに受ける絵と言うのはディフォルメ化が激しく、言ってしまえば幼い顔立ちのキャラの絵が多かったのです。
この法によって性欲の捌け口を無くしたロリコンも取り込めないか?
アニメ業界では深夜アニメの開拓により、多少過激な表現もOK。
エロゲー業界では元々あるエロを武器にしてやっていける。
漫画業界でも萌え絵の作家を同人業界から発掘。
ゲーム業界でもエロゲーからコンシューマへの移植でヒットしたものがすでに複数あったため、すんなりと通る。
こうした複数のきっかけにより萌えブームが発展していったのではないかと考えるのです。
実際今ではテレ東の夕方6時枠縮小、ゴールデンタイムのアニメの縮小等で深夜アニメの方が多く、
またライトノベルエロゲー原作のアニメも普通になってきました。
誤算だったのは、やはり児童ポルノ法」
一度逃れたため良かったと思っていたらこれ3年ごとに見直すという規定があるんですよ。
ただ、二次元の規制を行っているのは世界でもカナダのみアメリカでも違憲判決が出ているため、
成立する可能性は低いと見ていたんでしょう。
しかし実際には、萌え文化が世間一般にも広がり、偏見が急加速。
今回の様な事態になる。
と考えるとしっくりきます。
ただここで皆さんが思うのは
「何でこんな危ない橋を疑いもせずに渡ったのか」
と言うことだと思います。
普通だったら、こんな危ない橋を渡るくらいならきちんと偏見と誤解を解く方向へ進んだ方が安全なはずです。
私は、何も考えずに渡ったのでは無いと思います。
業界の仕組みを考えるとそんな事をしてる余裕がないのです。
その理由として挙げられるのは業界団体全体の予算の無さ。
いくら偏見を持っている一般の方にも
「日本のアニメ、漫画、ゲームは海外で素晴らしい評価を受けている」
と言う事はご存知かと思います。
しかし、製作の現場を見てみると
日本のアニメ、ゲーム、漫画に関する人件費、予算の低さと製作会社の激務っぷりは
世界でも最低ランクに位置しています。

特にアニメは製作・放映の時点で赤字が決まっているのが当たり前で、
その赤字を関連グッズの販売で補填している始末です。

例を挙げると経済産業省が出した日本のアニメーション産業の現状と課題での説明では
一般的なTVアニメに出される予算は5000万ほど。
そしてそこから広告代理店、TV局等に搾取されて制作費に回されるのは一話で800万ほど。
しかし、実際の制作費は1話で1000万〜1300万
しかも、監督や脚本家が月給20万ちょっととかアニメーターの平均年収が200万とかで、
ほぼ休日無しで働いてです(声優もほぼ一日潰して1万円台)。

それでも200万〜500万の赤字が出るのです。
深夜帯アニメで一般的な1クール(13話)放送を続けると2600万〜6500万の赤字
昔の一般的だった4クール(52話)放送ならば1億400万〜2億6000万の赤字
正直、今何とかしなければつぶれてしまうところばかりなのです。
なのでアニメを宣伝媒体としている漫画業界もゲーム業界も、
アニメよりは余裕があるがそれに引っ張られる形で同じ様な路線に入っていかざるを得ないのです。
(ただ、ゲーム業界は最近低予算でほぼ確実に利益を得る事ができる
DSの学習ソフトと言う似非ゲームジャンルで一部では萌えに頼らなくてもよくなってきましたが)
そんな事をやっているので優秀な人材がアニメ業界に入ってこない、入ってきてもすぐに辞めてしまう。
アニメ大好きな人でもやっていける人が少ないので、どうしても考える事が似通った人しか入らない。
所謂オタクの、オタクによる、オタクのためのアニメや漫画が増えてしまったのです。
また作画を人件費の安い海外に任せている所も多いので、今まで技術が劣っていた国が追いついてきている。
要は国内でも海外でもお先真っ暗な状態なんです。
それに今回の規制、実は海外の評価まで一気に下がる可能性も秘めているんです。
なんで日本の作品が評価されているかというと、表現の自由にあるんです。
海外では表現に厳しい制約が設けられているため、全てが似通った内容になり、キャラにも個性が生まれません。
そのため国産の漫画やアニメが衰退の一途を辿っています。
もし日本が似たような状況に陥ったら。
海外はまだ予算があるのでやっていけますが、日本は予算がありません。
一部アニメの再放送が無かったり、DVD−BOXを出す時、暴力表現や差別用語等の部分を自主規制して販売することから、
該当業界の特徴として、疑いがあるものにも規制をかける可能性が高いです。
そうなると今回の規制は今まで放送したアニメ、発売した漫画のほぼ全てに及ぶので、
今発売している漫画全ての絶版、アニメDVDの生産中止なんかもありえます。
再発売は…期待しない方が良いでしょう。
何せそんな事する金がありません。
そうなると…滅びますね、確実に。

主観入りまくってますが、ありえない話ではないと思います。
そんな事が、何の確証もなく行われようとしている事に
私は憤りを感じます。

(注)宮崎勤の自宅から大量の児童ポルノが見つかったというのはマスコミが作った捏造であるという話が出ています。
またそうで無くても、宮崎勤ロリコンであるというのは精神鑑定を行った医師の証言で否定されています。
「成人をあきらめて幼女を代替物としたようで、小児性愛や死体性愛などの傾向は見られません」(第1次精神鑑定鑑定医 保崎秀夫 法廷証言)
「幼児を対象としているが、本質的な性倒錯は認められず…幼児を対象としたことは代替である」(簡易精神鑑定)